スタッドレスタイヤを夏の間保管するとき、「洗ってから置くのか」「縦と横のどちらで置くのか」と迷う人もいるでしょう。
保管方法は、ホイールが付いているかどうかで異なります。
ブリヂストンは、ホイール付きのタイヤは横置き、ホイールなしのタイヤは縦置きを案内しています。また、直射日光、雨、水、油類、熱源などを避け、汚れを落として十分に乾燥させてから保管することが大切です。
ただし、正しく保管してもタイヤの劣化を完全に止めることはできません。
次のシーズンに使用するときは、残り溝だけでなく、プラットホーム、ひび割れ、傷、変形、ゴムの状態などを確認する必要があります。
この記事では、スタッドレスタイヤを保管する前の準備、適した保管場所、ホイール付き・なしの置き方、再装着前の点検について分かりやすく解説します。
保管方法によってタイヤの劣化が進むことがある
タイヤは使用していない間も、時間の経過や保管環境によって劣化します。
特に避けたいのは、次のような環境です。
・直射日光が当たる
・雨や水にさらされる
・高温になりやすい
・油や薬品が付着する
・ストーブなどの熱源が近い
・モーターやバッテリー充電器など電気火花が発生する機器が近い
適切に保管することで劣化を抑えることはできますが、新品の状態を保ち続けられるわけではありません。
製造年数だけで使用可否を決めず、装着前にタイヤの状態を点検することが大切です。
保管前に汚れを落として乾燥させる
取り外したタイヤには、泥、砂、融雪剤などが付着している場合があります。
保管前に水で汚れを落とし、風通しのよい日陰で十分に乾燥させましょう。
濡れたまま袋やカバーへ入れると、ホイールの腐食や汚れの原因になる可能性があります。
洗浄するときは、タイヤやホイールを傷める可能性がある強い薬品を自己判断で使用せず、タイヤメーカーやホイールメーカーの案内を確認してください。
傷や異物を確認する
洗浄するときに、次の点も確認しましょう。
・トレッド面に釘や異物が刺さっていないか
・溝に大きな石が挟まっていないか
・側面に深い傷や膨らみがないか
・ひび割れがないか
・ホイールに曲がりや腐食がないか
・空気が大きく抜けていないか
釘などが刺さっている場合は、その場で抜かず、タイヤ販売店へ相談しましょう。抜いたことで急に空気が漏れる可能性があります。
取り付け位置を記録しておく
タイヤを外すときに、「右前」「左後」など装着していた位置を記録しておくと、次回のローテーションを検討しやすくなります。
タイヤへ直接傷を付けず、養生テープや専用のタイヤ位置シールなどを利用しましょう。
ローテーション方法は、車やタイヤの種類によって異なります。回転方向や前後の指定があるタイヤもあるため、再装着時は取扱説明書や販売店の指示を確認してください。
直射日光・雨・熱を避けられる場所に保管する
タイヤは、暗くて涼しく、雨や水が当たらない場所で保管します。
屋内、ガレージ、物置などでも、次の条件を確認しましょう。
・直射日光が当たらない
・雨水が入り込まない
・夏に極端な高温にならない
・ストーブや給湯器などの熱源が近くにない
・オイル、ガソリン、洗剤などが付着しない
・モーターやバッテリー充電器などの近くではない
・タイヤが倒れたり転がったりしない
物置でも、金属製で日差しを受ける場所は内部が高温になることがあります。夏場の温度や換気の状態を確認しましょう。
床へ直接置かない
タイヤを長期間床へ直接置くと、タイヤ内部の成分がにじみ出て床を汚す場合があります。
段ボール、すのこ、タイヤラックなどを敷き、平らで安定した場所に置きましょう。
地面から離すことで、雨水や汚れが付着するのも防ぎやすくなります。
屋外やベランダで保管する場合
屋外やベランダは、日光、雨、風、温度変化の影響を受けやすいため、できれば屋内保管を検討しましょう。
やむを得ず屋外で保管する場合は、次の点を確認してください。
・屋根があり、直接雨が当たらない
・紫外線を遮るタイヤカバーを使用する
・床へ直接置かない
・風でカバーやタイヤが飛ばないようにする
・排水口や避難経路をふさがない
・エアコン室外機の熱風が直接当たらない
集合住宅のベランダでは、管理規約で物品の保管が制限されている場合があります。避難経路をふさぐ可能性もあるため、保管前に規約を確認しましょう。
ホイール付きは横置き、タイヤ単体は縦置き
タイヤの置き方は、ホイールが付いているかどうかで変わります。
ホイール付きタイヤは横置き
ホイールを装着したまま保管する場合は、タイヤを横に寝かせて置きます。
横置きにするとホイールの重さが分散され、接地部分の変形を抑えやすくなります。
重ねて保管する場合は、次の点に注意しましょう。
・平らで安定した場所へ置く
・タイヤの下に段ボールやマットを敷く
・無理に高く積み上げない
・定期的に上下を入れ替える
・地震や接触で崩れないようにする
壁へ立てかけたままにすると、倒れたり、同じ部分へ荷重がかかったりする可能性があります。
ホイールなしのタイヤは縦置き
タイヤ単体で保管する場合は、トレッド面を床側にして縦に置きます。
長期間同じ場所へ荷重がかからないよう、定期的に少しずつ回して接地面を変えましょう。
タイヤ単体は内側へ水や異物が入らないように注意してください。
タイヤラックを使う場合は、タイヤの幅と重量に対応しているかを確認し、転倒しない安定した場所へ設置しましょう。
スタッドレスタイヤ保管時のNG行為
保管中の劣化や変形を抑えるため、次のような保管は避けましょう。
汚れや水分が付いたまま保管する
泥や融雪剤が付いたままでは、ホイールの腐食や汚れにつながる可能性があります。
洗浄後は日陰で十分に乾燥させてから保管しましょう。
直射日光や雨にさらす
紫外線、雨、水はタイヤの劣化を進める原因になります。
屋外へむき出しのまま置かず、日光と雨を避けられる場所を選びましょう。
油類や熱源の近くへ置く
オイル、ガソリン、薬品などがタイヤへ付着すると、ゴムが変質する可能性があります。
ストーブ、給湯器、排気口など、高温になる場所の近くも避けてください。
ホイール付きタイヤを長期間縦置きする
ホイールの重さが一部分へ集中し、接地部分が変形する可能性があります。
ホイール付きは横置き、ホイールなしは縦置きを基本にしましょう。
空気圧を調整せずに長期間保管する
ブリヂストンは、ホイール付きタイヤを長期間保管する場合、空気圧を使用時の2分の1程度まで下げる方法を案内しています。
空気を抜きすぎてタイヤがつぶれた状態にせず、4本の空気圧を確認しながら調整しましょう。
再び車へ取り付けるときは、走行前に必ず車両指定空気圧へ戻す必要があります。
空気圧の調整に不安がある場合は、タイヤ販売店や整備工場へ依頼しましょう。
タイヤカバーや保管袋を使うときの注意点
タイヤカバーや保管袋は、紫外線、雨、ホコリなどからタイヤを守るために役立ちます。
ただし、カバーを掛ければ、どこに置いてもよいわけではありません。直射日光が当たる場所や高温になる場所、雨水がたまりやすい場所は避けましょう。
タイヤを十分に乾かしてから収納する
洗ったタイヤは、日陰で十分に乾かしてからカバーや袋へ入れます。
水分が残った状態で収納すると、ホイールの腐食や汚れの付着につながる可能性があります。
タイヤの溝やホイールの裏側まで乾いていることを確認しましょう。
タイヤ専用カバーを選ぶ
屋外やベランダで保管する場合は、タイヤの大きさに合った専用カバーを使用すると、日光や雨、ホコリの影響を減らせます。
使用するときは、次の点を確認しましょう。
・カバーが破れていないか
・雨水が内部へ入っていないか
・風で飛ばされないよう固定できているか
・タイヤやホイールが十分に乾いているか
カバーを掛けた後も、ときどき内部の状態を確認することが大切です。
市販の袋を使う場合
タイヤ販売店などでもらった保管袋や市販の袋を使う場合も、タイヤをきれいに洗い、十分に乾かしてから収納します。
一般的なゴミ袋は、破れやすく、紫外線や雨への耐久性が分からないため、長期間の屋外保管には適していません。
袋の使い方は材質や製品によって異なるため、販売店や製品の説明に従いましょう。
カバーや袋は、保管環境による影響を完全に防ぐものではありません。日光、雨水、高温、油類を避けた場所を選ぶことが基本です。
保管中も定期的に状態を確認する
タイヤは保管したまま放置せず、数か月に一度を目安に状態を確認しましょう。
ホイール付きは重ねる順番を変える
ホイール付きタイヤを横向きに重ねている場合は、同じタイヤへ負担が集中しないよう、ときどき上下の順番を入れ替えます。
タイヤラックを使用している場合も、ラックの傾きや変形がないか確認しましょう。
ホイールなしは接地する位置を変える
ホイールなしのタイヤを縦置きしている場合は、同じ部分へ長期間負担がかからないよう、ときどきタイヤを少し回します。
変形や大きな傾きが見られる場合は、無理に使用せずタイヤ販売店へ相談しましょう。
保管場所の変化も確認する
保管中は、次の点も確認します。
・カバーが外れたり破れたりしていないか
・雨水や結露でタイヤが濡れていないか
・タイヤの近くに油や薬品が置かれていないか
・暖房器具や電気機器の近くになっていないか
・タイヤやラックが倒れる危険がないか
ホイール付きタイヤは、空気が完全に抜けていないかも確認しましょう。
保管のためにタイヤワックスなどを塗る必要はありません。使用する場合は、タイヤメーカーが認めている製品かを確認し、説明書に従ってください。
来シーズンに装着する前の確認ポイント
保管方法が適切でも、タイヤは使用や時間の経過によって劣化します。
次の冬に装着する前に、残り溝だけでなく、ひび割れや変形なども確認しましょう。
プラットホームが露出していないか確認する
スタッドレスタイヤには、冬用タイヤとして使用できる限界を示す「プラットホーム」があります。
新品時から溝が約50%減ると、溝の中にあるプラットホームが表面へ現れます。プラットホームが露出したタイヤは、雪道や凍結路で冬用タイヤとして使用できません。
なお、一般的なタイヤの使用限界を示すスリップサインとは役割が異なります。スリップサインが1か所でも露出したタイヤは、雪のない道路でも使用できません。
ひび割れや変形を確認する
タイヤ全体を見て、次のような異常がないか確認しましょう。
・深いひび割れや傷がある
・側面が膨らんでいる
・タイヤが変形している
・釘などの異物が刺さっている
・一部分だけ極端に摩耗している
・ホイールに強いさびや変形がある
異物が刺さっている場合は、自分で抜かずにタイヤ販売店や整備工場へ相談してください。
製造された時期を確認する
タイヤの側面には、製造された時期を示す4桁の数字があります。
例えば「2524」と表示されている場合は、2024年の25週目に製造されたタイヤという意味です。
ただし、製造年だけで使用できるかを決めることはできません。使用状況、保管環境、ゴムの状態なども含めて判断する必要があります。
ゴムの硬さは専門店で確認する
指や爪で押した感触だけでは、スタッドレスタイヤの硬さを正確に判断できません。
ゴムが硬くなっていないか不安な場合は、タイヤ販売店などで専用の器具を使って確認してもらいましょう。
装着前に空気圧を戻す
保管中に空気圧を下げていたホイール付きタイヤは、車へ装着する前に指定空気圧へ調整します。
指定空気圧は、運転席側のドア付近に貼られたラベルや車の取扱説明書で確認できます。
自分で交換する場合も、ホイールナットの締め付けや空気圧に不安があれば、無理をせず整備工場やタイヤ販売店へ依頼しましょう。
まとめ|装着状態に合った置き方で保管する
スタッドレスタイヤを保管するときは、汚れを落として十分に乾かし、直射日光、雨水、高温、油類を避けることが基本です。
置き方は、ホイールの有無によって異なります。
・ホイール付きタイヤは横向きに置く
・ホイールなしタイヤは縦向きに置く
・床へ直接置かず、段ボールやマットなどを敷く
・保管中も定期的に置く順番や接地位置を変える
・タイヤカバーや袋へ入れる前に十分に乾かす
・ホイール付きは保管前に空気圧を調整する
・再装着前に車の指定空気圧へ戻す
次のシーズンに使用する前には、プラットホーム、ひび割れ、膨らみ、変形、異物、偏った摩耗などを確認しましょう。
製造年や見た目だけで判断するのではなく、ゴムの硬さや使用できる状態か分からない場合は、タイヤ販売店や整備工場で確認してもらうと安心です。
適切に保管しても、タイヤの劣化を完全に止めることはできません。
保管方法と装着前の点検を組み合わせ、雪道で安全に使用できる状態かを毎シーズン確認することが大切です。
参考資料
・ブリヂストン「タイヤの保管方法」
https://tire.bridgestone.co.jp/about/maintenance/keeping/
・ブリヂストン「タイヤを上手に使っていただくために」
https://tire.bridgestone.co.jp/about/maintenance/useful/passenger/
・ブリヂストン「スタッドレスタイヤの保管方法」
https://tire.bridgestone.co.jp/blizzak/swd/column/studless-tires-storage/
・トーヨータイヤ「スタッドレスタイヤの寿命と交換時期」
https://ontheroad.toyotires.jp/maintenance/5299/
・トーヨータイヤ「プラットホーム」
https://www.toyotires.jp/support/glossary/ja_ha_platform.html

