中古車を探していると、どうしても気になるのが走行距離です。
「10万kmを超えているけど大丈夫?」
「15万kmなら、さすがにやめた方がいい?」
こう考えるのは当然だと思います。
ただ、中古車販売に20年以上携わってきた私は、走行距離だけで仕入れる・仕入れないを決めていません。
実際に、走行約16万kmのプリウスαを仕入れて法人のお客様へ販売したことがあります。
逆に8万km程度でも、状態を見て仕入れない車があります。
では、16万kmのプリウスαの何を見て「この車なら販売できる」と判断したのか。
今回は一般的な中古車の選び方ではなく、実際に私が仕入れた1台を例に、現車を見ながら何を考えたのかを紹介します。
- 法人のお客様から「黒・5人乗り」のプリウスαを注文された
- 見つかったプリウスαは走行約16万km
- 16万kmなのに外装の傷がほとんどなかった
- ドアのヒンジ付近に残っていたオイル交換の履歴シール
- 業者オークションでは自由に試乗できない。それでも確認できることはある
- 逆に8万kmでもエンジンに違和感があれば買わない
- 下回りのサビが多ければ、ほかの条件が良くてもパス
- 下回り全面に防錆剤が吹かれている車も私は避ける
- タバコ臭・ペット臭が強い車も買わない
- ハイブリッドバッテリーの特別な診断をしたわけではない
- 仕入れ後に行ったのはオイル類交換・清掃・ヘッドライト磨き
- 私は「良い車を当てる」より「危ない車を外す」
- 10万km超の中古車を検討している方へ
法人のお客様から「黒・5人乗り」のプリウスαを注文された
今回のプリウスαは、在庫として何となく仕入れた車ではありません。
法人のお客様から注文をいただいて探していた車です。
条件は、
- プリウスα
- 5人乗り
- 黒
でした。
条件だけを見ると、それほど難しくなさそうに感じるかもしれません。
ところが中古車は、希望条件を満たせば何でもいいわけではありません。
条件に合っていても、現車を見て不安を感じれば仕入れません。
注文をいただいている以上、早く見つけたい気持ちはあります。
それでも、焦って買った車でお客様に後悔してもらうくらいなら、見つからない方がいい。
これは昔から変わらない私の考え方です。
見つかったプリウスαは走行約16万km
候補として出てきたのが、40系前期型、平成25年前後のプリウスαでした。
走行距離は約16万km。
一般的には、かなり走っている部類に入ると思います。
ただ私は、
「16万kmだからパス」
とは考えませんでした。
まず現車を見ます。
そこで最初に印象に残ったのが、外装の状態でした。
16万kmなのに外装の傷がほとんどなかった
このプリウスαは、走行距離の割に外装が非常にきれいでした。
ほとんど傷がなかったんです。
私は中古車を見るとき、傷を単純な修理費用だけの問題として見ていません。
前のオーナーが、その車をどう扱っていたのかを考える一つの材料として見ています。
中古車なので多少の傷は当然あります。
小さな傷があるから仕入れない、ということではありません。
ただ、車全体がかなり荒れていれば、
「普段どんな扱われ方をしていたんだろう?」
とは考えます。
今回のプリウスαからは、そういう雑に扱われてきた印象を受けませんでした。
そして運転席のドアを開けたとき、さらに一つ気付いたことがありました。
ドアのヒンジ付近に残っていたオイル交換の履歴シール
運転席のドアを開けると、ヒンジ付近にオイル交換の履歴シールが貼ってありました。
本当に小さなことです。
シールが貼ってあるから「絶対に良い車」と判断できるわけでもありません。
でも、そのシールを見たとき、
「ちゃんとしている人が乗っていたんだろうな」
と思ったのを覚えています。
16万kmまで乗られている。
それなのに外装が荒れていない。
さらにオイル交換をしてきた痕跡も残っている。
こうした小さな情報を一つずつ重ねて、その車がこれまでどう扱われてきたのかを考えます。
中古車を見るとき、私が知りたいのは、
「何km走ったか」だけではなく、「そこまでどう乗られてきたか」
です。
業者オークションでは自由に試乗できない。それでも確認できることはある
私が中古車を仕入れる場所の一つが、業者向けのオークション会場です。
ここでは一般的な中古車販売店のように、気になる車を自由に試乗して確認することはできません。
ただし、エンジンを始動したり、エンジンオイルを確認したりすることはできます。
エンジンを始動したら、アイドリングが不安定ではないか、ボトつくような違和感がないかを確認します。
そしてエンジンオイルも確認します。
ただし、オイルの色だけでエンジンの状態や過去の管理状況を判断できるわけではありません。
私の場合は、外装の状態、エンジン始動時の様子、オイル、下回り、車内の臭いなど、現車で確認できる情報を一つずつ重ねて仕入れるかどうかを判断しています。
逆に8万kmでもエンジンに違和感があれば買わない
16万kmでも仕入れる車がある一方で、私は8万km程度でも仕入れないことがあります。
たとえばエンジンを始動して、
- ボトつく感じがする
- アイドリングが明らかに不安定
- エンジンの調子に違和感がある
こんな車です。
私の経験では、8万km前後という走行距離だけを見てエンジンの寿命を心配することはありません。
それよりも、その距離まできちんとオイル管理されてきたのかを気にします。
8万km程度なのにエンジンの状態に不安を感じれば、
「これまでの管理は大丈夫だったのかな?」
と考えます。
そして、無理して買いません。
下回りのサビが多ければ、ほかの条件が良くてもパス
もう一つ、私がかなり気にするのが下回りです。
サビが目立つ車は、価格や装備などほかの条件が魅力的でも基本的に避けます。
沿岸地域で使用されていたり、冬場に凍結防止剤が散布される道路を多く走っていたりと、下回りのサビにはさまざまな原因が考えられます。
ですから、サビを見ただけで使用地域を断定することはできません。
私が気にしているのは、
「後からトラブルの原因にならないか」
です。
注文車だからといって、そこを妥協することはありません。
下回り全面に防錆剤が吹かれている車も私は避ける
時々、下回り全面に防錆剤が吹き付けられている車があります。
防錆処理そのものが悪いと言っているわけではありません。
ただ私の場合、その下がどんな状態なのか判断しにくい車には無理して手を出しません。
「たぶん大丈夫だろう」
で仕入れる必要がないからです。
ほかの車を探します。
これは最近始めたことではなく、昔から変わらない仕入れ方です。
トラブルの原因になりそうなものを見つけたら、早めに候補から外す。
私の場合、良いところを探して何とか買おうとするより、こちらを優先します。
タバコ臭・ペット臭が強い車も買わない
車内に乗り込んだときの臭いも確認します。
特に私が避けているのが、
- タバコ臭
- ペット臭
です。
この2つは本当に頑固です。
清掃や消臭で改善できる場合はありますが、長期間染み付いた臭いを完全に消すのはかなり難しいと感じています。
販売するときに、
「頑張って消臭すれば何とかなるだろう」
という前提で仕入れたくありません。
そのため、臭いが強い車は走行距離が少なくても避けます。
ハイブリッドバッテリーの特別な診断をしたわけではない
高走行のプリウスαということで、ハイブリッドバッテリーが気になる方もいると思います。
今回のプリウスαについて、仕入れ前にハイブリッドバッテリーの特別な診断を行ったわけではありません。
ここは事実として書いておきます。
特別な診断をしたから16万kmでも仕入れた、という話ではありません。
私が実際に確認できた車の状態を総合して仕入れを判断しました。
仕入れ後に行ったのはオイル類交換・清掃・ヘッドライト磨き
仕入れたあと、
「16万kmだから大量に部品を交換したのでは?」
と思うかもしれません。
実際に行ったのは、主にオイル類の交換と車内清掃です。
またヘッドライトの光量が十分ではなかったため、プロに磨いてもらいました。
エンジンなどの大掛かりな修理を行って納車した車ではありません。
そして法人のお客様へ納車し、現在まで大きなトラブルは起きていません。
今回のお客様はご自身でもいろいろ調べていて、プリウスαの一般的な中古車価格についても理解されていました。
走行距離だけではなく、車の状態と価格を理解したうえで購入していただけたのは、販売する側としてもありがたいことでした。
私は「良い車を当てる」より「危ない車を外す」
20年以上中古車を扱ってきて、今も変わらない考え方があります。
良いところを探して無理に仕入れるより、後から問題になりそうな車を候補から外す。
今回話した内容なら、
- 外装がかなり荒れている
- エンジンの調子に違和感がある
- 下回りのサビが多い
- 状態を判断しづらいほど防錆処理されている
- 強いタバコ臭・ペット臭がある
こうした車です。
走行距離や価格、装備が魅力的でも、トラブルの原因になりそうだと感じれば見送ります。
逆に今回のプリウスαは16万kmでした。
それでも実車を見て、
「この車ならお客様に販売できる」
と判断しました。
10万km超の中古車を検討している方へ
走行距離は中古車を選ぶうえで大切な情報です。
でも私は、
8万kmだから安心、16万kmだから危険
という見方はしていません。
今回のプリウスαで見たように、
- 外装はどう扱われてきたか
- 整備されてきた痕跡はあるか
- エンジンを始動して違和感はないか
- 下回りに不安材料はないか
- 車内の状態や臭いはどうか
こうした部分も見ます。
16万kmという数字だけなら、今回のプリウスαも候補から外れていたでしょう。
でも、実際には仕入れて販売し、現在まで大きなトラブルはありません。
中古車を選ぶときに見てほしいのは、
「何km走った車なのか」だけではなく、「その距離までどう扱われてきた車なのか」。
これが、私が実際の仕入れで大切にしていることです。
すでに10万kmを超えた車に乗っていて、「このまま乗るか、車検を通すか、乗り換えるか」で迷っている方は、こちらの記事も参考にしてください。

