新社会人になり、通勤や生活のために初めて中古車を購入する人もいるでしょう。
中古車は、新車より購入価格を抑えやすい一方、同じ車種や年式でも車両状態、整備履歴、保証内容などが異なります。
そのため、「見た目が気に入った」「月々の支払いが安い」という理由だけで決めると、購入後に困る場合があります。
私は中古車販売に20年以上携わってきましたが、初めて車を購入する人には、車種を決める前に予算と使い方を整理することをおすすめしています。
購入前には、少なくとも次の点を確認する必要があります。
・車両価格ではなく支払総額
・税金や任意保険を含めた維持費
・修復歴と車両状態
・点検や整備の履歴
・納車前に行われる整備
・保証される部品と期間
・実際に運転したときの違和感
安い中古車がすべて悪いわけではありません。
反対に、価格が高ければ必ず状態がよいとも限りません。
大切なのは、価格が決まっている理由と、購入後に必要になる費用を確認することです。
この記事では、新社会人が中古車選びで失敗しやすい行動と、契約前に確認したい7つのポイントを分かりやすく解説します。
初めての中古車選びで失敗しやすい理由
初めて車を購入するときは、比較する項目が多く、何を優先すればよいか分からないことがあります。
特に新社会人は、通勤開始や引っ越しに合わせて短期間で車を探す場合があります。
時間に余裕がないと、次のような決め方をしやすくなります。
・見た目や車種だけで決める
・車両価格の安さだけで選ぶ
・毎月のローン返済額だけを見る
・任意保険の見積もりを取らない
・実車確認や試乗をしない
・保証内容を読まずに契約する
・複数の車両や販売店を比較しない
中古車は、同じ車種、年式、走行距離でも状態が同じとは限りません。
以前の使われ方、保管場所、点検履歴、修理内容などによって消耗の程度が変わります。
走行距離が少ない車でも、長期間動かしていなかったり、短距離走行を繰り返していたりする場合があります。
反対に、走行距離が多くても、定期的に点検や部品交換が行われている車もあります。
車種の評判や数字だけで決めず、実際の車両状態と記録を確認することが大切です。
確認ポイント1|見た目より先に使い方と予算を決める
車のデザインは大切ですが、見た目だけで選ぶと、購入後に使いにくさを感じる場合があります。
まず、次の条件を整理しましょう。
・通勤で毎日何km走るか
・普段は何人乗るか
・どの程度の荷物を積むか
・高速道路を走る機会があるか
・自宅や勤務先の駐車場へ入るか
・雪道や坂道を走るか
・何年程度乗る予定か
例えば、大きなSUVやミニバンは室内が広い一方、狭い駐車場や道路では扱いにくい場合があります。
タイヤサイズが大きい車は、交換時の費用も確認する必要があります。
ターボ車や排気量の大きな車でも、車両価格が予算内なら購入できます。
しかし、燃料代、税金、任意保険、タイヤなどを含めると、購入後の負担が想定より大きくなることがあります。
候補車が決まったら、契約前に次の費用を確認しましょう。
・任意保険料
・年間の燃料代
・自動車税または軽自動車税
・車検と定期点検
・タイヤやバッテリーの交換費用
・駐車場代
・ローンを含めた毎月の支払額
任意保険料は年齢や等級だけでなく、車の型式、補償内容、車両保険の有無などによって変わります。
「若いから高い」「軽自動車なら安い」と決めつけず、購入予定の車で見積もりを取りましょう。
確認ポイント2|車両価格ではなく支払総額で比較する
中古車を比較するときは、広告に大きく表示された車両価格だけで判断しないことが大切です。
自動車公正取引協議会のルールでは、中古車の販売価格として「支払総額」を表示します。
支払総額は、車両価格と、その車を購入するために最低限必要な諸費用を合計した金額です。
ただし、購入者が希望する用品やサービスなどは別に必要になる場合があります。
見積書では、次の項目を確認しましょう。
・車両価格
・税金と自賠責保険料
・登録手続きに必要な費用
・納車前に行われる整備
・保証の有無と料金
・希望していない用品やサービス
・最終的な支払総額
広告の支払総額と見積書の金額が異なる場合は、何が追加されたのかを一つずつ確認します。
必要性が分からない費用があれば、内容と断れる項目なのかを販売店へ聞きましょう。
月々のローン返済額だけで決めない
「月々1万円」などの表示だけでは、実際の負担を判断できません。
頭金、ボーナス払い、金利、返済期間、最終回の支払額によって総支払額が変わるためです。
ローンを利用する場合は、次の金額を確認しましょう。
・借入金額
・適用される金利
・毎月の返済額
・ボーナス月の返済額
・返済回数
・最終回の支払額
・利息を含めた返済総額
さらに、ローン返済とは別に、任意保険、燃料、税金、駐車場、車検などの維持費がかかります。
「毎月ローンを払えるか」ではなく、「ローンと維持費を合わせても生活できるか」で判断することが大切です。
確認ポイント3|修復歴と整備記録を確認する
中古車では、修復歴の有無を確認しましょう。
修復歴とは、一般的に車体の骨格にあたる部分が事故などで損傷し、修理や交換を受けた履歴を指します。
バンパーやドアを交換しただけで、必ず修復歴車になるわけではありません。
反対に、外観がきれいでも骨格部分を修理している場合があります。
修復歴がある車を購入できないわけではありませんが、次の点を販売店へ確認しましょう。
・どの部分を修理したのか
・どの程度の損傷だったのか
・修理後の走行に問題がないか
・タイヤの偏った減り方がないか
・保証の対象になるか
・将来売却するときに査定へ影響する可能性
点検記録簿がある場合は、車検、点検、オイル交換、修理などの履歴も確認します。
記録簿がないだけで購入できない車になるわけではありません。
ただし、整備履歴が分からない分、現在の状態と納車前に行う整備を慎重に確認する必要があります。
確認ポイント4|エンジン始動と試乗で違和感を確認する
可能であれば、エンジンが冷えている状態から始動させてもらいましょう。
始動時には、次の点を確認します。
・警告灯が正常に消えるか
・大きな異音がしないか
・アイドリングが不安定ではないか
・排気ガスから強い異臭がしないか
・エアコンが正常に作動するか
・パワーウインドウやドアロックが動くか
試乗では、次の点を確認しましょう。
・運転席から周囲を見やすいか
・無理のない運転姿勢を取れるか
・加速時に強い振動や異音がないか
・変速時に大きな衝撃がないか
・ハンドルが左右へ取られないか
・ブレーキ時に異音や振動が出ないか
・段差を越えたときに大きな音がしないか
短時間の試乗だけですべての不具合を見つけることはできません。
試乗で問題を感じなくても、整備記録、納車前整備、保証内容を一緒に確認することが大切です。
運転に慣れておらず判断が難しい場合は、車に詳しい家族や知人へ同行をお願いする方法もあります。
確認ポイント5|納車後に交換が必要な消耗品を確認する
車両価格が安くても、購入直後に部品交換が重なると支払額が増えます。
購入前には、次の部分を確認しましょう。
・タイヤの残り溝、ひび割れ、製造年
・バッテリーの点検結果や交換時期
・エンジンオイルの状態
・ブレーキ部品の残量
・ワイパーゴムの状態
・エアコンの効き方
・スペアキーの有無
・次回車検までの期間
タイヤは溝が残っていても、製造から年数が経過している場合があります。
バッテリーも、現時点でエンジンが始動できるからといって、今後長く使用できるとは限りません。
販売店へ、納車前に点検する項目と交換する部品を書面で確認しましょう。
「納車整備付き」と記載されていても、どこまで整備するのかは販売店や商品によって異なります。
点検だけなのか、基準に満たない部品を交換するのかを確認することが大切です。
確認ポイント6|保証される部品と条件を確認する
中古車の保証は、期間だけでは判断できません。
「1年保証」と表示されていても、保証される部品、走行距離、修理できる店舗などが異なる場合があります。
契約前には、次の点を確認しましょう。
・保証される部品
・保証期間と走行距離
・保証額の上限
・消耗品が対象になるか
・故障時に連絡する場所
・購入店以外でも修理できるか
・保証対象外になる条件
・修理中の代車を利用できるか
保証が付いていない車を購入できないわけではありません。
ただし、購入後の故障費用を自分で負担できるかを考える必要があります。
保証付きの場合も、説明だけで判断せず、保証書や契約書で内容を確認しましょう。
確認ポイント7|数年後の生活変化も考える
新社会人は、就職後に勤務先や生活環境が変わる可能性があります。
購入前には、次のような変化も考えておきましょう。
・転勤や引っ越し
・通勤方法の変更
・結婚や家族構成の変化
・収入や支出の変化
・年間走行距離の増加
・駐車場の変更
・数年後の売却や乗り換え
将来の売却価格だけを理由に車を決める必要はありません。
売却価格は、年式、走行距離、修復歴、車両状態、市場の需要などによって変わります。
ただし、ローンを利用する場合は、売却時にローンがどの程度残るかを考えておくことが大切です。
査定額よりローン残高が多い場合は、売却代金だけで完済できず、不足分を用意しなければならないことがあります。
今の通勤だけでなく、数年間無理なく所有できる車かを考えて選びましょう。
契約前の最終チェックリスト
契約前に、次の項目をもう一度確認しましょう。
・自分の使い方に合う車種と大きさか
・任意保険を含めた年間維持費を計算したか
・広告と見積書の支払総額を確認したか
・修復歴と整備履歴を確認したか
・エンジン始動と試乗を行ったか
・タイヤやバッテリーの状態を確認したか
・納車前に行う整備内容を確認したか
・保証範囲を保証書で確認したか
・ローンの金利と返済総額を確認したか
・購入後も生活に必要な貯金を残せるか
分からない点が残っている場合は、その場で契約せず、回答や書面を確認してから判断しましょう。
複数の車両や販売店を比較することで、自分に必要な条件も分かりやすくなります。
まとめ|中古車は価格と車名だけで決めない
新社会人が中古車を選ぶときは、見た目や車両価格だけで決めないことが大切です。
購入前に確認したい7つのポイントは次のとおりです。
・使い方と維持できる予算
・車両価格ではなく支払総額
・修復歴と整備記録
・エンジン始動と試乗時の状態
・タイヤやバッテリーなどの消耗品
・保証される部品と条件
・数年後の生活変化とローン残高
中古車は、同じ車種、年式、走行距離でも状態が異なります。
走行距離が少ないことや、価格が高いことだけで、状態のよい車と判断することはできません。
私は中古車販売に20年以上携わってきましたが、初めて車を購入する人ほど、分からない点をそのままにせず販売店へ確認することが重要だと感じます。
契約前には、広告の表示だけでなく、見積書、点検記録簿、保証書、契約書を確認しましょう。
可能であれば実車へ試乗し、運転のしやすさと車両の状態も確認します。
車の購入後には、任意保険、燃料、税金、車検、整備、駐車場などの支払いが続きます。
ローンの月額だけでなく、維持費を含めても生活を続けられるかを計算することが大切です。
気になる車が見つかっても、その場で決める必要はありません。
必要な情報を確認し、複数の車両と見積もりを比較して、自分の生活に合う一台を選びましょう。
参考資料
・自動車公正取引協議会「中古車表示のチェックポイント」
https://www.aftc.or.jp/content/files/am/download/shiharaisougaku_PR/checkpoint_shiharaisougaku.pdf
・自動車公正取引協議会「中古車の価格は『支払総額』に変わります」
https://www.aftc.or.jp/content/files/pdf/2023_07_kaiseipamph_A3.pdf
・自動車公正取引協議会「中古車の『支払総額』の表示に関するFAQ」
https://www.aftc.or.jp/contents/am/shiharai/faq.html
・日本自動車査定協会「修復歴の判断基準」
https://www.jaai.or.jp/images/jissiten/sateikijun260330/sateikijun.pdf
・日本自動車査定協会「車両状態証明の見方」
https://www.jaai.or.jp/vcon-shoumei-mikata.html

