新社会人になり、通勤などで車が必要になる人もいるでしょう。
一方で、手取りが月20万円前後の場合、「車を購入しても生活を続けられるのか」と不安になることがあります。
車にかかる費用は、車両の購入代金やローンだけではありません。
購入後も、税金、任意保険、燃料、駐車場、車検、点検、タイヤなどの費用が必要です。
特に新社会人は、任意保険の等級や年齢条件によって保険料が高くなる場合があります。
ただし、「手取り20万円なら車を持てる」「一人暮らしなら無理」と一律に決めることはできません。
家賃、駐車場代、通勤距離、車種、保険の補償内容などによって、毎月残る金額は変わります。
この記事では、2026年8月時点の税額や公的情報をもとに、中古コンパクトカーで年間1万km走る場合の維持費を試算します。
今回の試算には、車両の購入代金とローン返済額を含めません。
まず車そのものの維持費を計算し、その後にローンを加えても生活を続けられるかを考えます。
任意保険料や燃料価格などは人や地域によって異なるため、記事内の金額は一例です。
自分の見積もりや駐車場代へ置き換えて確認してください。
今回の維持費を計算する条件
今回は、新社会人が中古のコンパクトカーを所有するケースとして、次の条件で計算します。
・自家用のガソリン乗用車
・排気量:1.0L超~1.5L以下
・2019年10月1日以後に初回登録された車
・年間走行距離:1万km
・実燃費:15km/L
・ガソリン価格:1Lあたり175円
・任意保険料:年間12万円
・車検、点検、消耗品の積立:年間6万円
・地方の駐車場:月3,000円
・都市部の駐車場:月1万円
任意保険料の年間12万円は、計算方法を示すための仮定です。
実際の保険料は、年齢、等級、車種、使用目的、年間走行距離、運転者の範囲、車両保険の有無などによって変わります。
購入前に、自分の条件で保険会社や代理店から見積もりを取りましょう。
ガソリン価格も地域や時期によって変わります。
普段利用するガソリンスタンドの価格が異なる場合は、記事内の計算式へ実際の価格を当てはめてください。
なお、今回の試算には次の費用を含めていません。
・車両の購入代金
・ローンの返済額と利息
・高速道路料金
・洗車や用品の購入費
・事故や故障による予定外の修理費
車をローンで購入する場合は、今回計算する維持費に毎月の返済額を加えて考える必要があります。
コンパクトカーの年間維持費を項目別に計算
今回の条件を使い、1年間に必要な費用を項目ごとに確認します。
自動車税:年間3万500円
2019年10月1日以後に初回登録された、排気量1.0L超~1.5L以下の自家用乗用車は、自動車税種別割が年間3万500円です。
初回登録の時期や排気量によって税額は異なります。
中古車を購入するときは、車検証の初度登録年月とエンジンの排気量を確認しましょう。
また、一定の年数を経過したガソリン車などは税額が重くなる場合があります。
任意保険:年間12万円で仮定
今回の試算では、任意保険料を年間12万円として計算します。
ただし、任意保険料はすべての新社会人が同じではありません。
主に次の条件によって変わります。
・運転する人の年齢
・ノンフリート等級
・車の型式
・車両保険の有無
・通勤や日常使用などの使用目的
・年間走行距離
・運転者を限定する範囲
・免許証の色
初めて自分名義で契約する場合でも、家族の保険契約から等級を引き継げるケースがあります。
適用できる条件は家庭ごとに異なるため、契約前に保険会社や代理店へ確認しましょう。
ガソリン代:約11万6,700円
年間1万km走行し、実燃費15km/L、ガソリン価格1Lあたり175円と仮定します。
計算式は次のとおりです。
1万km ÷ 15km/L × 175円 = 約11万6,700円
1か月あたりでは、約9,700円です。
通勤距離が長い、渋滞が多い、実燃費が低いといった場合は、さらに燃料代が増えます。
自分の年間燃料代は、次の計算式で確認できます。
年間走行距離 ÷ 想定実燃費 × ガソリン1Lの価格
カタログ燃費ではなく、実際の使用環境に近い燃費で計算することが大切です。
車検・点検・消耗品:年間6万円を積み立てる
今回の試算では、車検、定期点検、オイル交換、タイヤなどに備え、年間6万円を積み立てることにします。
1か月あたりでは5,000円です。
車検時には、整備費用のほかに、自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料などが必要です。
2026年8月時点で、自家用乗用車の自賠責保険料は24か月で1万7,650円です。
自動車重量税は、車両重量、初回登録からの年数、環境性能などによって異なります。
また、中古車はタイヤ、バッテリー、ブレーキなどの交換時期が重なることもあります。
年間6万円はあくまで積立例であり、車の状態によっては不足する可能性があります。
購入前には納車後に交換が必要な部品も確認しましょう。
駐車場代:年間3万6,000円または12万円
駐車場代は地域によって大きく異なります。
今回の試算では、次の2つのケースを使用します。
・月3,000円:年間3万6,000円
・月1万円:年間12万円
実家の敷地などへ無料で駐車できる場合は、この費用がかかりません。
反対に、都市部では月1万円を大きく超える場合もあります。
車を購入する前に、自宅周辺の月額料金だけでなく、敷金、仲介手数料、更新料なども確認しましょう。
年間維持費の合計はいくら?
ここまでの条件を合計すると、コンパクトカーの年間維持費は次のようになります。
駐車場が月3,000円の場合
・自動車税:3万500円
・任意保険:12万円
・ガソリン代:約11万6,700円
・車検、点検、消耗品の積立:6万円
・駐車場代:3万6,000円
年間合計は、約36万3,200円です。
1か月あたりにすると、約3万300円になります。
駐車場が月1万円の場合
駐車場代以外は同じ条件で計算します。
年間合計は、約44万7,200円です。
1か月あたりでは、約3万7,300円になります。
駐車場代がかからない場合
実家の敷地などを利用し、駐車場代がかからない場合の年間合計は約32万7,200円です。
1か月あたりでは、約2万7,300円になります。
このように、今回の条件ではローン返済を含めなくても、毎月約2万7,000~3万7,000円の維持費が必要です。
手取り20万円に対する割合は、およそ14~19%になります。
さらに月3万円のローンを組む場合は、車にかかる毎月の支出が約5万7,000~6万7,000円になります。
これは手取り20万円の約29~34%です。
ただし、この金額には予定外の故障、高速道路料金、用品代などを含めていません。
「ローンが月3万円だから維持できる」と考えず、ローンと維持費を合わせた金額で判断することが大切です。
軽自動車へ変更すると維持費は下がる?
軽自動車は、コンパクトカーより税金や燃料代を抑えられる可能性があります。
2026年度の自家用乗用軽自動車の軽自動車税種別割は、標準税率で年間1万800円です。
ただし、初回検査の時期や経過年数などによって税額が異なる車両もあります。
ここでは、次の条件で軽自動車の年間維持費を試算します。
・軽自動車税:1万800円
・任意保険:年間12万円
・実燃費:20km/L
・年間走行距離:1万km
・ガソリン価格:1Lあたり175円
・車検、点検、消耗品の積立:年間5万円
・駐車場代:月3,000円
ガソリン代は、次の計算になります。
1万km ÷ 20km/L × 175円 = 8万7,500円
すべてを合計すると、年間維持費は約30万4,300円です。
1か月あたりでは、約2万5,400円になります。
同じ駐車場条件で計算したコンパクトカーの約36万3,200円と比べると、年間で約5万8,900円少ない試算です。
ただし、軽自動車なら任意保険が必ず安くなるとは限りません。
保険料は、年齢、等級、車両保険、車の型式などによって変わります。
また、実燃費や整備費も車種と使い方によって異なります。
軽自動車を選ぶ場合も、税金だけで判断せず、購入する車両の保険料、燃費、タイヤ価格などを確認しましょう。
高速道路を走る機会が多い場合は、合流時の加速、横風の影響、車内の広さ、乗車人数なども実車で確認することが大切です。
手取り20万円で車を持てるかは残る生活費で決まる
同じ手取り20万円でも、家賃、駐車場、通勤距離などによって車を維持できるかは変わります。
「実家暮らしだから余裕」「一人暮らしだから無理」と決めるのではなく、車に使える金額を実際に計算しましょう。
実家暮らしの場合
自宅に駐車でき、家賃の負担が小さい場合は、車を維持しやすくなります。
ただし、実家暮らしでも次のような支出がある人もいます。
・家へ入れる生活費
・奨学金の返済
・スマートフォンなどの通信費
・生命保険や医療保険
・交際費
・将来に備える貯金
毎月の固定費を差し引いた後に、車の維持費とローンを支払えるか確認しましょう。
一人暮らしの場合
一人暮らしでは、家賃、光熱費、食費なども自分で負担します。
例として、手取り20万円から次の生活費を支払うケースを考えます。
・家賃:7万円
・水道光熱費:1万2,000円
・食費:3万5,000円
・通信費:8,000円
・日用品や医療費など:1万5,000円
・貯金:2万円
この場合、支出は合計16万円で、残る金額は4万円です。
ここからコンパクトカーの維持費として月約3万300~3万7,300円を支払うと、残る金額は約2,700~9,700円です。
この試算にはローン返済、交際費、衣服代、予定外の修理費などを含めていません。
さらにローンを組む場合は、生活費を圧迫する可能性があります。
これは家計の一例です。実際には、自分の家賃や生活費を使って計算してください。
通勤手当や駐車場代も確認する
車通勤の場合は、勤務先の制度も確認しましょう。
・通勤手当はいくら支給されるか
・勤務先の駐車場は無料か
・自宅の駐車場代はいくらか
・仕事中に自家用車を使用するか
・年間走行距離はどの程度になるか
通勤手当が支給されても、燃料代の全額をまかなえるとは限りません。
また、通勤距離が長くなると、燃料代だけでなく、オイル、タイヤ、走行距離による車の消耗も増えます。
勤務先までの距離と出勤日数をもとに、年間走行距離を計算してから車を選びましょう。
無理なく車を持つために購入前に確認したいこと
手取り20万円で車を所有する場合は、車両価格だけでなく、購入後に続く支出を確認することが大切です。
毎月の車予算を先に決める
まず、手取り収入から生活費と貯金を差し引き、車に使える金額を確認します。
車に使える金額には、ローンだけでなく次の費用も含めます。
・任意保険
・燃料代
・駐車場代
・税金の積立
・車検と点検の積立
・タイヤなどの消耗品
販売店で「月々支払えるローン額」を決める前に、自分の家計から車全体に使える上限を決めましょう。
任意保険の見積もりを購入前に取る
若い人は、年齢条件や等級などによって任意保険料が高くなる場合があります。
同じ価格帯の車でも、型式や車両保険の有無によって保険料が変わります。
候補車が決まったら、契約前に保険料を確認しましょう。
保険料を下げるためだけに必要な補償まで外すと、事故時の負担が大きくなる可能性があります。
補償内容を理解したうえで比較することが大切です。
購入直後に必要な整備費も確認する
中古車は、購入価格が安くても、納車後すぐに消耗品の交換が必要になる場合があります。
購入前には次の部分を確認しましょう。
・タイヤの残り溝と製造年
・バッテリーの状態
・エンジンオイルの交換時期
・ブレーキ部品の残量
・次回車検までの期間
・納車前に行われる整備
・購入後の保証内容
支払総額だけでなく、購入後1年間に必要になりそうな整備費も販売店へ確認しましょう。
車のために貯金を使い切らない
車を現金で購入できても、貯金がほとんど残らない場合は注意が必要です。
購入後には、故障や事故だけでなく、引っ越し、病気、家電の故障など、車以外の出費が発生する可能性もあります。
車を購入した後も、急な支出へ対応できる資金を残しておきましょう。
ローンを含めた金額でもう一度計算する
今回の年間維持費には、ローン返済を含めていません。
ローンを利用する場合は、次の計算で毎月の車関連支出を確認します。
毎月の維持費 + ローン返済額 = 車にかかる毎月の合計額
ボーナス払いを設定する場合も、月々の金額だけでなく、1年間の支払総額で考えましょう。
収入が一時的に減った場合でも返済と維持を続けられるかを確認してから契約することが大切です。
まとめ|手取り20万円でも維持費とローンを分けて考える
今回の条件では、中古コンパクトカーの年間維持費は次の結果になりました。
・駐車場なし:約32万7,200円
・駐車場が月3,000円:約36万3,200円
・駐車場が月1万円:約44万7,200円
1か月あたりでは、約2万7,300~3万7,300円です。
この金額には、車両の購入代金やローン返済額を含めていません。
月3万円のローンを組む場合、車にかかる毎月の合計額は約5万7,000~6万7,000円になります。
手取り20万円で車を持てるかどうかは、収入だけでは判断できません。
次の条件を自分の金額へ置き換えて確認しましょう。
・家賃と生活費
・自宅と勤務先の駐車場代
・年間走行距離
・任意保険料
・車検や整備の積立
・毎月のローン返済額
・購入後に残せる貯金
車は購入できたら終わりではなく、税金、保険、燃料、整備などの支払いが続きます。
購入前に任意保険と駐車場の見積もりを取り、車検や消耗品の積立を含めて計算することが大切です。
中古車を選ぶ場合は、価格や走行距離だけでなく、タイヤ、バッテリー、整備履歴、保証内容も確認しましょう。
手取り20万円でも、家賃や駐車場代が低く、ローンを抑えられれば車を維持できる可能性があります。
一方、生活費を差し引いた後に余裕がほとんど残らない場合は、車両価格、車種、購入時期を見直すことも必要です。
「買えるか」だけではなく、数年間無理なく維持できるかを考えて選びましょう。
参考資料
・福岡市「令和8年度 みんなの市税」
https://www.city.fukuoka.lg.jp/zaisei/zeisei/life/documents/r8minnanosizei.pdf
・福岡市「軽自動車税の概要」
https://www.city.fukuoka.lg.jp/zaisei/zeisei/life/001.html
・国土交通省「自賠責保険・共済に加入するには」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/about/policyholder/index.html
・国土交通省「自動車重量税額について」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000076.html
・日本損害保険協会「自動車保険」
https://www.sonpo.or.jp/insurance/car/index.html

