高齢者が運転しやすい車の選び方|安全装備・視界・サイズの確認ポイント

比較・選び方

高齢の家族が車を運転している場合、「どのような車なら扱いやすいのか」と悩むことがあります。

車体が小さい、価格が安い、安全装備が多いという理由だけで、誰にとっても運転しやすい車になるとは限りません。

体格、視力、足腰の状態、普段走る道路、駐車場の広さなどによって、適した車は変わります。

また、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時の加速抑制装置は、事故を必ず防ぐ機能ではありません。安全装備の有無だけでなく、前後左右の見やすさ、ペダルの位置、乗り降りのしやすさなどを、実車で確認することが大切です。

この記事では、高齢ドライバーが車を選ぶときに確認したい、視界、車体サイズ、安全装備、操作性、乗降性の5つのポイントを分かりやすく解説します。

1.運転席から周囲を確認しやすい

車の見やすさは、カタログの数値だけでは判断できません。運転席へ座り、実際の目線から前後左右を確認しましょう。

確認したいポイントは次のとおりです。

・ボンネットの位置や車体の端を把握しやすいか
・フロントガラス横の柱が視界を大きく遮らないか
・交差点で左右を確認しやすいか
・サイドミラーが見やすい位置にあるか
・後方を振り返ったときに確認しやすいか
・メーターや警告表示を無理なく読めるか

バックカメラや全周囲カメラがあると、駐車時の確認を補助できます。

ただし、カメラには映らない範囲があり、レンズの汚れや天候によって見えにくくなる場合もあります。画面だけに頼らず、ミラーと目視を組み合わせて確認することが大切です。

試乗するときは販売店の敷地内だけでなく、可能であれば交差点、狭い道、駐車場など、普段の使い方に近い状況で確認しましょう。

2.普段使う道路と駐車場に合うサイズ

車体が小さければ必ず安全というわけではありませんが、普段使う道路や駐車場に対して大きすぎる車は、運転時の負担が増えます。

特に確認したいのは次の場面です。

・自宅周辺の狭い道路ですれ違えるか
・自宅の駐車場へ無理なく入れられるか
・スーパーや病院の駐車枠で乗り降りできるか
・何度も切り返さずに駐車できるか
・車庫から出るときに歩行者や自転車を確認できるか

以前から大きな車へ乗っている場合でも、現在の使い方にその広さや乗車人数が必要かを確認しましょう。

一方、車体を小さくすると、室内の広さ、荷室、乗り降りのしやすさが変わる場合があります。

コンパクトカーや軽自動車など複数の大きさを実際に試し、運転のしやすさと日常の使い勝手を両方比べることが大切です。

3.必要な安全運転支援機能が付いている

安全運転支援機能は、事故を完全に防ぐものではありませんが、運転中の見落としや操作ミスを補助します。

車選びで確認したい主な機能は次のとおりです。

・衝突被害軽減ブレーキ
・ペダル踏み間違い時の加速抑制装置
・駐車時に障害物を知らせるセンサー
・車線から外れそうなときに知らせる機能
・後退時に左右から近づく車を知らせる機能
・隣の車線にいる車を知らせる機能
・バックカメラや全周囲カメラ

同じ車種でも、グレードや年式によって装備内容が異なります。名称が似ていても、歩行者や自転車を検知できる条件、作動する速度などが違う場合があります。

中古車では、カタログ上の設定だけで判断せず、その車両に実際に装備されているかを確認しましょう。

また、雨、雪、逆光、センサーの汚れなどによって、機能が作動しなかったり、正しく検知できなかったりする場合があります。

販売店で機能の限界や警告の意味を確認し、納車後も取扱説明書を読んでおくことが大切です。

4.無理なくペダルを踏み分けられる

アクセルとブレーキの位置や踏み心地は、車種によって異なります。

まず運転席を正しい位置へ調整し、アクセルとブレーキを無理なく踏み分けられるか確認しましょう。

確認したいポイントは次のとおりです。

・ブレーキを奥まで踏んでも膝が伸び切らないか
・アクセルからブレーキへ足を移しやすいか
・ペダルの位置が左右へ大きくずれていないか
・靴が隣のペダルへ引っかからないか
・軽く踏んだときに急加速しすぎないか
・ブレーキの効き方を調整しやすいか

シートを前へ出しすぎると、ハンドルやペダルの操作が窮屈になります。反対に遠すぎると、ブレーキを十分に踏み込めない可能性があります。

停車した状態で座席位置を調整したうえで、販売店の担当者に同乗してもらい、安全な試乗コースで発進、停止、駐車を確認しましょう。

普段使用する靴で試乗することも大切です。厚底の靴や脱げやすい履物は、ペダル操作の妨げになるため避けましょう。

5.乗り降りするときに無理がない

乗り降りのしやすさは、車高の高さだけでは決まりません。

座面が低すぎると立ち上がる負担が増え、高すぎると足を大きく上げる必要があります。本人の身長や足腰の状態に合っているかを実車で確認しましょう。

確認したいポイントは次のとおりです。

・頭や腰を大きく曲げずに乗れるか
・座面へ腰を下ろしやすいか
・地面へ足を着きやすいか
・ドアが十分に開くか
・足元の段差が高すぎないか
・乗り降りするときにつかめる場所があるか
・狭い駐車場でもドアを開けて降りられるか

運転席だけでなく、家族や介助する人が乗る助手席や後席も確認しましょう。

販売店では一度乗るだけで判断せず、乗る、降りる、荷物を積むという動作を何度か試すことが大切です。

家族だけで車種を決めない

家族が安全性を心配していても、本人の意見を聞かずに車を決めると、操作方法に慣れず、かえって負担になる場合があります。

「危ないから小さい車に替える」と一方的に伝えるのではなく、現在困っている場面を一緒に確認しましょう。

例えば、次のように具体的に話すと比較しやすくなります。

・駐車時に周囲を確認しやすい車を探す
・乗り降りで足腰に負担が少ない車を試す
・踏み間違い時の加速抑制機能がある車を比較する
・自宅の駐車場へ入れやすい大きさを確認する

候補を2台から3台に絞り、本人と家族が一緒に試乗して決めることが大切です。

車を替えるだけで解決するとは限らない

新しい安全装備が付いた車へ替えても、運転能力や体調の変化を補える範囲には限界があります。

次のような状況がある場合は、車の買い替えだけで判断せず、運転方法そのものも見直しましょう。

・同じ場所で接触を繰り返す
・信号や標識の見落としが増えた
・道に迷うことが増えた
・意識を失う、強い眠気が出るなどの症状がある
・家族が同乗したときに強い不安を感じる

夜間や雨天の運転を控える、走る道路を限定する、家族に送迎してもらうなど、段階的に運転を減らす方法もあります。

病気や薬の影響が考えられる場合は医師へ相談し、運転に不安がある場合は警察の安全運転相談窓口「#8080」も利用できます。

まとめ|カタログだけでなく実車で確認する

高齢ドライバーが運転しやすい車は、年齢だけで決まるものではありません。

本人の体格、視力、足腰の状態、普段走る道路、自宅の駐車場などに合っているかを確認することが大切です。

車選びでは、次の5つを確認しましょう。

・運転席から前後左右を確認しやすいか
・普段使う道路や駐車場に合うサイズか
・必要な安全運転支援機能が付いているか
・アクセルとブレーキを無理なく踏み分けられるか
・乗り降りするときに体へ負担がないか

安全装備の名称や機能だけで判断せず、本人が普段履く靴で試乗し、発進、停止、右左折、駐車、乗り降りまで確認しましょう。

中古車では、同じ車種でも年式やグレードによって安全装備が異なります。その車両に実際に付いている装備と、作動条件を販売店へ確認する必要があります。

また、車を替えてもすべての事故を防げるわけではありません。運転中の見落としや接触が繰り返される場合は、運転する時間や道路を限定し、家族、医師、運転免許センターなどへ相談しましょう。

参考資料

・自動車事故対策機構「自動車安全性能(JNCAP)」
https://www.nasva.go.jp/mamoru/

・国土交通省「衝突被害軽減ブレーキは万能ではありません」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha08_hh_002954.html

・警察庁「安全運転相談窓口について」
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/conferennce_out_line.html

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