4WDでも雪道でスタックする原因は?過信しやすいポイントを解説

車のトラブル・悩み

4WDは雪道で発進しやすく、上り坂でも駆動力を伝えやすい車です。

しかし、4WDだからといって、滑らない、短い距離で止まれる、深い雪でも必ず進めるというわけではありません。

JAFの圧雪路テストでも、平坦な道での制動距離は4WDと2WDで大きな差がありませんでした。むしろ車重などの条件によっては、下り坂で停止までの距離が長くなる場合があります。

4WDでもスタックする主な原因は、次のとおりです。

・古いタイヤや摩耗したタイヤを使っている
・深い雪へ無理に進入する
・アクセルを強く踏んでタイヤを空転させる
・車体の下へ雪が詰まる
・4WDや電子制御を過信している
・チェーンやスコップなどを準備していない

この記事では、4WDでも雪道でスタックする原因と、出発前に確認したい対策を分かりやすく解説します。

4WDが雪道で得意なこと・苦手なこと

4WDは、4本のタイヤへ駆動力を分けて伝える仕組みです。

2WDと比べて、次のような場面では安定して発進しやすくなります。

・圧雪された道路での発進
・雪道の上り坂
・左右で滑りやすさが異なる路面
・浅い雪が積もった道路

一方、4WDでも次の性能が必ず高くなるわけではありません。

・滑ったときに短い距離で止まる性能
・カーブを安全に曲がる性能
・深い雪を乗り越える性能
・凍結路でタイヤのグリップを保つ性能

JAFが圧雪路で行ったテストでは、時速40kmから急ブレーキをかけた場合、平坦な道路での制動距離は4WDと2WDのどちらも約20~22mで、大きな差はありませんでした。

4WDの強みは、主に「前へ進む力を伝えやすいこと」です。「止まりやすい」「滑らない」という意味ではないため、雪道では速度を抑えて車間距離を広く取る必要があります。

原因1|タイヤの状態を確認していない

4WDの性能を路面へ伝えているのは、4本のタイヤです。

そのため、4WDでもタイヤの状態が悪ければ、発進、停止、カーブのすべてで滑りやすくなります。

購入時に確認したいのは、次の項目です。

・スタッドレスタイヤを装着しているか
・タイヤの溝が十分に残っているか
・ゴムが硬くなっていないか
・ひび割れや偏った摩耗がないか
・空気圧が車両の指定値になっているか
・4本の種類や摩耗状態がそろっているか

スタッドレスタイヤも、装着すれば必ず安全になるわけではありません。凍結した道路や深い雪では、十分なグリップを得られない場合があります。

また、4WD車は駆動方式や車種によって、タイヤ交換に関する注意点が異なります。1本だけ交換できるか判断できない場合は、販売店やタイヤ専門店へ相談してください。

雪道を走る前に、タイヤの名前だけでなく、溝、硬さ、使用年数まで確認することが大切です。

原因2|電子制御の役割を誤解している

多くの車には、タイヤの空転や横滑りを抑えるための電子制御が搭載されています。

代表的なものは、次の機能です。

・タイヤの空転を抑える機能
・横滑りを抑えて車体の姿勢を保つ機能
・タイヤがロックしないようにブレーキを調整する機能

これらは雪道での安全運転を助ける装備ですが、「絶対に滑らないようにする装置」ではありません。

深い雪やスタックからの脱出時には、空転を抑える制御によってエンジンやモーターの出力が下がり、アクセルを踏んでも進みにくく感じることがあります。

ただし、電子制御を切れば必ず脱出できるわけではありません。機能の名称や解除方法、再び作動する条件は車種によって異なります。

自己判断で操作せず、次の順番で確認しましょう。

・メーターに表示されている警告灯を確認する
・取扱説明書でスタック時の操作を調べる
・スノーモードなどがあれば使用条件を確認する
・脱出後は電子制御が作動する状態へ戻す

電子制御は通常走行では重要な安全装備です。スタック時に操作が必要かどうかは、必ず車種ごとの取扱説明書に従ってください。

原因3|深い雪へ無理に進入する

4WDでも、車体の最低地上高を超えるような深い雪へ進むと、スタックする可能性があります。

特に注意したいのは、雪によって道路の状態が見えにくい場所です。

・除雪されていない道路
・道路脇や駐車場の吹きだまり
・わだちの間に雪が多く残っている場所
・除雪車が道路脇へ押し固めた雪
・新雪の下に凍結した路面がある場所

雪が車体の下へ入り込み、車の底が雪へ乗り上げると、タイヤが路面を十分に押せなくなります。

この状態では、4本のタイヤが回っても前へ進めません。アクセルを踏み続けると、タイヤの下の雪を掘り、さらに抜け出しにくくなります。

雪の深さや路面の状態を確認できない場合は、「4WDだから進める」と判断せず、引き返すことも必要です。

原因4|アクセルを強く踏んでしまう

雪道で発進できないと、アクセルを強く踏みたくなります。

しかし、タイヤが空転している状態で踏み続けると、雪を掘ってタイヤがさらに沈む可能性があります。

4WDは4本のタイヤへ駆動力を伝えるため、強く踏めば必ず脱出できるわけではありません。路面のグリップを超えた力をかけると、複数のタイヤが空転する場合があります。

雪道で発進するときは、次の点を意識しましょう。

・ハンドルをできるだけ真っすぐにする
・アクセルをゆっくり踏む
・タイヤが空転したら一度止める
・スノーモードなどがあれば説明書どおりに使用する
・後続車との距離や周囲の安全を確認する

何度も空転させると脱出が難しくなるだけでなく、タイヤや駆動系へ負担をかける可能性があります。

動けないときは無理に踏み続けず、タイヤ周辺と車体下の雪を確認してください。

原因5|雪道を走るための装備が足りない

4WDでも、雪道を走る前の準備は必要です。

天候や道路状況によっては、スタッドレスタイヤだけでは走行できず、タイヤチェーンが必要になる場合があります。

雪道を走る可能性があるときは、次の装備を確認しましょう。

・車に適合するタイヤチェーン
・雪を取り除くためのスコップ
・タイヤの下へ敷く脱出板
・防水性のある手袋と長靴
・防寒着、毛布、使い捨てカイロ
・懐中電灯や非常灯
・飲料水と非常食
・スマートフォン用の充電器
・けん引を依頼するときに確認する取扱説明書

タイヤチェーンは、購入しただけでは安心できません。

装着するタイヤや取り付け方法は車種によって異なります。雪が降る前に取扱説明書を確認し、安全な場所で一度取り付ける練習をしておきましょう。

なお、大雪時に行われる「チェーン規制」では、4WDやスタッドレスタイヤ装着車もチェーンが必要です。規制や通行止めの情報を確認し、危険が予想される場合は出発を見合わせることも大切です。

4WDでスタックしたときの対処方法

4WDで動けなくなったときは、アクセルを何度も踏んで脱出しようとしないでください。

まず周囲の安全を確認し、次の順番で対応します。

  1. ハザードランプを点灯する
  2. タイヤの空転を止める
  3. 駆動方式や警告表示を確認する
  4. タイヤの前後にある雪を取り除く
  5. 車体の下に雪が詰まっていないか確認する
  6. 脱出板などでタイヤのグリップを確保する
  7. 取扱説明書に従ってゆっくり発進する

脱出を試しても動かない場合や、道路上で作業するのが危険な場合は、無理をせずロードサービスへ連絡しましょう。

立ち往生した状態でエンジンをかける場合は、マフラーの出口が雪でふさがれていないか確認してください。排気ガスが車内へ入り、一酸化炭素中毒を起こすおそれがあります。

詳しい脱出手順は、次の記事で解説しています。

雪道で車がスタックしたら?脱出手順とやってはいけない行動

まとめ|4WDでも雪道への準備と慎重な判断が必要

4WDは、雪道での発進や上り坂で力を発揮しやすい駆動方式です。

一方で、4WDだからといって、必ず滑らない、短い距離で止まれる、深い雪でも進めるというわけではありません。

スタックを防ぐために、次の点を確認しましょう。

・冬用タイヤの溝、硬さ、空気圧を確認する
・深い雪や除雪されていない道路へ無理に入らない
・発進時はアクセルをゆっくり踏む
・電子制御は取扱説明書に従って操作する
・チェーン、スコップ、脱出板、防寒具を準備する
・大雪や通行止めの情報を確認する

雪道では、車の性能よりも、路面に合わせて速度や進路を変える判断が重要です。

走行が危険だと感じた場合は、4WDの性能を試そうとせず、引き返す、出発を遅らせる、ロードサービスを利用するなど、安全を優先してください。
参考資料

JAF「4WDなら雪道でも安心?2WDと登坂・ブレーキ性能を比較」
JAF「雪道・アイスバーンでの運転の注意点」
国土交通省「チェーン規制について」
国土交通省 中部地方整備局「エンジン駆動タイプ別 運転ポイント」

※道路状況や規制内容は変わる場合があります。出発前に道路管理者や高速道路会社が発表する最新情報を確認してください。

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