出先や通勤前にエンジンがかからないと、バッテリー上がりを疑う人も多いでしょう。
ただし、エンジンがかからない原因はバッテリーだけではありません。
燃料切れ、スマートキーの電池切れ、シフト位置、ブレーキ操作、スターターや発電装置の故障などでも、似た症状が出ることがあります。
また、ジャンプスタートは接続場所や順番を間違えると、車両の故障、感電、火災、バッテリーの破裂につながるおそれがあります。
作業する場合は、この記事だけで判断せず、必ず自分の車の取扱説明書を確認してください。
特にハイブリッド車、電気自動車、輸入車などは、12Vバッテリーの場所や救援用端子、作業手順が車種によって異なります。
次のような場合は、自分で作業せずロードサービスや整備工場へ連絡しましょう。
・交通量が多い道路上など、安全な作業場所を確保できない
・取扱説明書で接続場所を確認できない
・ケーブルの接続に自信がない
・バッテリーが変形、破損、液漏れしている
・強い異臭や煙が出ている
・バッテリーが凍結している可能性がある
・事故や浸水の後にエンジンがかからない
この記事では、バッテリー上がりが疑われるときの確認方法、ジャンプスターターやブースターケーブルを使う際の注意点、始動後に必要な点検について説明します。
最初に安全と車の状態を確認する
エンジンがかからなくても、すぐにジャンプスタートを始めないでください。
まず、車を安全な場所へ停車できているか確認します。
道路上や見通しの悪い場所では、ハザードランプや停止表示器材を使用し、自分と同乗者の安全を優先しましょう。
安全を確保できたら、次の点を確認します。
シフト位置と始動操作を確認する
オートマチック車は、シフトが「P」に入っているか確認します。
車種によっては「N」でも始動できる場合がありますが、取扱説明書に従ってください。
ブレーキペダルやクラッチペダルを踏み込んで始動する車では、正しく操作できているかも確認しましょう。
スマートキーの反応を確認する
スマートキーの電池が弱っていると、車がキーを認識できず始動できない場合があります。
メーターに「キーが見つかりません」などの表示がある場合は、取扱説明書に記載された非常時の始動方法を確認してください。
メーターやライトの反応を確認する
スタート操作をしたときに、次のような症状が出る場合は、12Vバッテリーの電圧が低下している可能性があります。
・メーターや室内灯が暗い
・スターターの回り方が弱い
・カチカチという音がして始動しない
・ドアロックや電装品が動かない
ただし、これらの症状だけでバッテリー上がりと断定することはできません。
完全に反応がない場合も、バッテリー端子の緩み、ヒューズ、スターターなど別の原因が考えられます。
何度も始動操作を繰り返さず、原因が分からない場合はロードサービスや整備工場へ相談しましょう。
バッテリー交換歴と消し忘れを確認する
ヘッドライト、室内灯、荷室灯、電装品などを長時間使用したことがなかったか確認します。
交換時期が分からない場合は、バッテリー本体の表示、整備記録簿、点検記録なども確認しましょう。
始動できた場合でも、バッテリーの劣化や発電装置の不具合が原因なら再発する可能性があります。
ジャンプスターターを使用する場合
携帯型ジャンプスターターは、ほかの車を用意せずに12Vバッテリーの始動を補助する機器です。
ただし、すべての車に同じ製品や接続方法を使えるわけではありません。
作業前に、次の3つを必ず確認してください。
・自分の車の取扱説明書
・ジャンプスターターの取扱説明書
・車両と製品の電圧や対応条件
一般的な流れは次のとおりですが、実際の作業は各取扱説明書を優先してください。
- 車を安全な場所に止め、パーキングブレーキをかける
- シフトを「P」にし、ライトやエアコンなどの電装品を切る
- 車両の指定されたプラス端子または救援用端子へ、赤いクリップを接続する
- 指定されたマイナス端子または車体の金属部分へ、黒いクリップを接続する
- ジャンプスターターの説明書に従って電源を入れる
- 指定された時間と回数の範囲で始動操作を行う
- 始動後は製品の説明書に従い、接続時と逆の順番で取り外す
プラスとマイナスを逆につないだり、クリップ同士を接触させたりしないでください。
また、始動できないからといって何度も連続して操作すると、スターターやジャンプスターターへ負担がかかる場合があります。
指定回数で始動できない場合は作業を中止し、ロードサービスや整備工場へ連絡しましょう。
ブースターケーブルで救援してもらう場合
ブースターケーブルを使用する場合は、故障車と救援車の両方の取扱説明書を確認してください。
救援車として使用できない車種もあります。特にハイブリッド車や電気自動車を救援車として使えるかは、車名だけで判断せず取扱説明書で確認しましょう。
また、12V車へ24Vのトラックなどを接続してはいけません。
作業前には、次の点を確認します。
・両方の車が接触しない位置に止まっている
・パーキングブレーキがかかっている
・シフトが「P」または指定位置に入っている
・ライトやエアコンなどの電装品が切れている
・ケーブルの被膜、クリップ、接続部分に破損がない
・赤と黒のケーブルが届く位置にある
JAFが案内する一般的な接続順は、次のとおりです。
- 赤いケーブルを、バッテリーが上がった車のプラス端子または救援用端子へ接続する
- 赤いケーブルの反対側を、救援車のプラス端子へ接続する
- 黒いケーブルを、救援車のマイナス端子へ接続する
- 黒いケーブルの反対側を、バッテリーが上がった車の指定された金属部分へ接続する
最後の黒いケーブルを、バッテリーが上がった車のマイナス端子へ直接つながないよう指定されている車があります。
接続場所は車種によって異なるため、必ず取扱説明書の図で確認してください。
接続後の救援車の始動、故障車の始動、ケーブルを外すタイミングについても、両方の取扱説明書に従います。
一般的にケーブルは、取り付けたときと逆の順番で外します。
作業中は、クリップ同士やクリップと車体を接触させないでください。
接続場所や手順に少しでも不安がある場合は、自分で作業せずロードサービスへ依頼しましょう。
始動できてもバッテリーと充電状態を点検する
ジャンプスタートは、エンジンや車両システムを一時的に始動させるための応急処置です。
始動できたからといって、バッテリーの劣化や故障が解決したわけではありません。
始動後は、メーターにバッテリーや充電系統の警告灯が点灯していないか確認してください。
次のような場合は走行を続けず、ロードサービスや整備工場へ相談しましょう。
・警告灯が消えない
・エンジンや車両システムが再び停止する
・ライトが極端に暗い
・異音、異臭、煙が出ている
・ハンドルやブレーキの操作に異常を感じる
・安全に走行できるか判断できない
異常がなく走行できる場合も、できるだけ早く整備工場や販売店で次の点を確認してもらいましょう。
・12Vバッテリーの状態
・充電電圧
・発電装置の状態
・バッテリー端子の緩みや腐食
・ライトなどの消し忘れ以外に放電の原因がないか
必要な充電時間や走行時間は、バッテリーの状態、車種、気温、電装品の使用状況などによって異なります。
「30分走れば元に戻る」と一律に判断することはできません。
再始動できなくなる可能性もあるため、安全な移動先と点検方法を考えてからエンジンや車両システムを停止しましょう。
自分で作業せず救援を依頼したほうがよい状態
次のような場合は、ジャンプスタートを行わず、ロードサービスや整備工場へ連絡してください。
バッテリーが変形・破損している
バッテリー本体が膨らんでいる、割れている、液が漏れている場合は触らないでください。
強い異臭、煙、異常な熱がある場合も、車から離れて安全を確保しましょう。
寒冷地でバッテリーが凍結している可能性がある場合も、ブースターケーブルを接続してはいけません。
接続場所や手順を確認できない
車種によっては、バッテリーがエンジンルーム以外にあり、ボンネット内へ専用の救援用端子が設けられています。
指定されていない場所へ接続すると、車両を故障させるおそれがあります。
取扱説明書を確認できない場合や、プラス端子、救援用端子、金属部分を特定できない場合は作業を中止しましょう。
正しい手順でも始動できない
正しく接続しても始動できない場合は、バッテリー以外の不具合も考えられます。
何度も始動操作を繰り返さず、救援を依頼してください。
始動後に警告灯が消えない・すぐ停止する
始動後にバッテリーや充電系統の警告灯が消えない場合は、発電装置や配線などに不具合がある可能性があります。
エンジンや車両システムがすぐ停止する場合も、無理に走行しないでください。
走行中に再び停止すると危険なため、必要に応じて積載車などで整備工場へ搬送してもらいましょう。
高速道路や危険な場所で停止した
高速道路や交通量の多い道路では、その場での作業より安全確保を優先します。
可能であれば安全な場所へ避難し、道路緊急ダイヤルやロードサービスへ連絡してください。
車内に残ることが危険な場合もあるため、現場の状況に応じてガードレールの外側など安全な場所へ移動しましょう。
ハイブリッド車・電気自動車は取扱説明書を優先する
ハイブリッド車や電気自動車にも、車両のシステムを起動するための12Vバッテリーが搭載されています。
この12Vバッテリーが上がると、駆動用バッテリーに電気が残っていても、車両を起動できない場合があります。
ただし、12Vバッテリーや救援用端子の場所は車種によって異なります。
ボンネット内のヒューズボックスにプラスの救援用端子が設けられている車もあります。
作業前には、次の点を確認してください。
・12Vバッテリー上がりへの対処方法
・プラスの救援用端子の場所
・黒いケーブルを接続する指定の金属部分
・ジャンプスターターを使用できるか
・ほかの車を救援する側として使用できるか
・車両が始動したことを示す表示
ハイブリッド車や電気自動車は、エンジン音がしなくても「READY」などの走行可能表示が点灯すれば、車両システムが起動している場合があります。
反対に、メーターや電装品が点灯しても、走行可能表示が出ていなければ発進できません。
高電圧用のオレンジ色の配線や部品には触れないでください。
車種ごとに手順が異なるため、一般的な説明だけで作業せず、必ずその車の取扱説明書を確認しましょう。
バッテリー上がりに備えて日頃からできること
バッテリー上がりは、事前の点検や準備で対応しやすくなります。
普段から次の点を確認しておきましょう。
・定期点検でバッテリーの状態を確認する
・交換した年月を記録しておく
・ライトや室内灯の消し忘れに注意する
・長期間乗らない場合の管理方法を販売店へ確認する
・自動車保険にロードサービスが付いているか確認する
・JAFなどの連絡方法をスマートフォンへ登録する
・車の取扱説明書をすぐ確認できるようにする
ジャンプスターターを車載する場合は、車両に対応した製品を選び、定期的に充電状態と破損の有無を確認します。
ブースターケーブルを用意する場合も、車両の電圧や必要な電流に対応しているか確認してください。
購入しただけで安心せず、取扱説明書を読み、接続する端子の場所を事前に確認しておくことが大切です。
ただし、路上で安全に作業できない場合や手順に自信がない場合は、道具を持っていても無理に使用せず、救援を依頼しましょう。
まとめ|手順に迷ったら無理に作業しない
エンジンや車両システムが始動しないときは、バッテリー上がりだけでなく、スマートキー、始動操作、スターター、発電装置など別の原因も考えられます。
バッテリー上がりが疑われる場合は、次の順番で対応しましょう。
・最初に自分と周囲の安全を確保する
・シフト位置やスマートキーの反応を確認する
・自分の車の取扱説明書を確認する
・指定された端子と接続順を守る
・始動できても、早めにバッテリーと充電状態を点検する
バッテリーの変形、液漏れ、異臭、煙、凍結の可能性がある場合は、ジャンプスタートを行ってはいけません。
また、接続場所や手順が分からない場合、高速道路など安全な作業場所を確保できない場合も、自分で作業せず救援を依頼しましょう。
ジャンプスタートは一時的に始動させるための応急処置です。
始動できても「30分走れば直る」とは限りません。
再発を防ぐため、整備工場や販売店でバッテリー、発電装置、端子などを点検してもらうことが大切です。
参考資料
・JAF「自動車のバッテリー上がりと応急処置」
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-trouble/subcategory-support/faq267
・トヨタ「アクア 補機バッテリーがあがったときは」
https://manual.toyota.jp/aqua/2211/hev/ja_JP/contents/vhch07se020409.php
・日産自動車「e-POWER車のバッテリーがあがった場合の対処方法」
https://faq2.nissan.co.jp/faq/show/695?site_domain=default
・日産自動車「リーフ 12Vバッテリーがあがったときは」
https://www.nissan.co.jp/OPTIONAL-PARTS/NAVIOM/LEAF/OM/1112_CONTENTS/ze0-j01-f05f3f9f-62fd-4b29-936c-e95fb063e35f.html

