免許返納を考えるとき、「買い物や通院はどうすればよいのか」と不安になる人もいるでしょう。
特に地方では、鉄道や路線バスの本数が少なく、スーパーや病院まで車で移動している人も少なくありません。
そのため、返納するかどうかを決める前に、自宅周辺で利用できる移動サービス、料金、予約方法、運行日を確認することが大切です。
移動手段は、路線バスだけではありません。自治体のデマンド交通、タクシー、家族の送迎、宅配サービスなどを組み合わせることで、車を運転しなくても生活を続けられる場合があります。
この記事では、地方で検討しやすい5つの選択肢と、免許返納前に確認したいことを分かりやすく解説します。
サービスの名称、利用条件、運行地域、料金は自治体によって異なります。実際に利用するときは、お住まいの市区町村や運行事業者の最新情報を確認してください。
1.デマンド交通・予約制乗合タクシー
デマンド交通は、利用者の予約に応じて運行する乗合型の交通サービスです。
電話やアプリなどで予約し、決められた乗降場所から病院、スーパー、公共施設などへ移動します。
路線バスのように毎回同じ時刻や経路で走るとは限らず、複数の利用者が乗り合わせる場合があります。
確認したい項目は次のとおりです。
・自宅付近まで迎えに来るのか
・乗降場所が決められているのか
・利用できる地域と目的地
・運行する曜日と時間
・予約が必要な時間
・片道料金と支払方法
・利用者登録が必要か
「デマンド型乗合タクシー」という名称でも、一般のタクシーと同じように好きな場所へ移動できるとは限りません。
市区町村の交通担当窓口や地域包括支援センターへ問い合わせ、利用条件を確認しましょう。
2.コミュニティバス・路線バス
自治体が関係するコミュニティバスは、住宅地と病院、駅、商業施設などを結んでいる場合があります。
一般の路線バスより小さな車両が使われることもありますが、運行経路、本数、乗降場所は地域によって異なります。
利用を検討するときは、次の点を確認しましょう。
・自宅からバス停まで安全に歩けるか
・病院やスーパーの近くに停車するか
・帰宅に使える便があるか
・土日や祝日も運行するか
・乗り降りするときに段差がないか
・高齢者や免許返納者向けの割引があるか
行きの便だけでなく、用事が終わった時間に利用できる帰りの便まで確認することが大切です。
免許を返納する前に、家族と一緒に一度乗ってみると、移動時間や乗り換えの負担を具体的に確認できます。
3.一般のタクシー・自治体の助成制度
定期的な通院や買い物など、必要なときだけ一般のタクシーを利用する方法もあります。
毎回の料金はかかりますが、車を所有すると必要になる税金、任意保険、車検、ガソリン、整備などの費用と比べると、利用回数によってはタクシーのほうが負担を抑えられる場合があります。
自治体によっては、次のような支援制度があります。
・免許返納者向けのタクシー割引
・高齢者向けタクシー券
・公共交通の運賃助成
・運転経歴証明書の提示による特典
ただし、対象年齢、所得、要介護認定の有無などの条件が設けられている場合があります。
利用できる制度は、市区町村の高齢者支援窓口や交通担当窓口で確認しましょう。
4.家族の送迎・福祉サービス
家族が送迎できる場合は、通院日や買い物日を事前に決めておくと負担を分担しやすくなります。
一人の家族だけに頼らず、曜日や目的ごとに担当を分ける方法もあります。
要支援・要介護認定を受けている人や、単独で公共交通を利用することが難しい人は、介護タクシー、福祉有償運送、通院時の乗降介助などを利用できる場合があります。
ただし、利用条件や費用、介護保険が適用される範囲はサービスによって異なります。
まずは地域包括支援センターや担当のケアマネジャー、市区町村の福祉窓口へ相談しましょう。
近所の人の車へ継続的に同乗する方法は、事故時の補償や送迎する人の負担も考える必要があります。個人間だけで決めず、利用できる公的・地域サービスがないか先に確認することが大切です。
5.宅配・移動販売で外出回数を減らす
すべての用事で外出するのではなく、自宅へ届けてもらうことで必要な移動を減らす方法もあります。
地域によっては、次のようなサービスを利用できます。
・ネットスーパー
・生協などの食材宅配
・自治体や民間事業者の配食サービス
・移動販売車
・ドラッグストアやホームセンターの配送
・電話注文に対応する地域の商店
インターネットの操作が難しい場合は、家族が注文を手伝ったり、電話注文できる店舗を探したりする方法があります。
薬については、すべての商品や処方薬を自由に配送できるわけではありません。受け取り方法や薬剤師からの説明が必要になる場合があるため、利用している薬局へ確認しましょう。
宅配だけで生活のすべてを補うことは難しくても、重い飲料や米、日用品などを届けてもらえば、買い物の回数と持ち運びの負担を減らせます。
免許返納前に1週間試してみる
移動サービスを調べるだけでなく、免許を返納する前に「車を運転しない生活」を実際に試してみることが大切です。
例えば、1週間ほど自分では運転せず、バス、デマンド交通、タクシー、家族の送迎、宅配などを使って生活してみます。
試すときは、次の用事を確認しましょう。
・通院
・食料品や日用品の買い物
・銀行や市役所の手続き
・理美容院
・家族や友人との交流
・急な体調不良や予定変更
実際に試すことで、予約の難しさ、待ち時間、帰りの交通手段、月にかかる費用などが分かります。
一つの交通手段だけですべてを補うのではなく、「通院はデマンド交通」「買い物は宅配」「急ぎの用事はタクシー」のように、目的ごとに組み合わせると現実的です。
家族の送迎を利用する場合も、誰が、いつ、どの程度なら対応できるかを返納前に話し合っておきましょう。
まとめ|返納前に使える制度と費用を確認する
免許返納後の生活では、車の代わりを一つだけ探すのではなく、複数の方法を組み合わせることが大切です。
地方で検討しやすい選択肢は次のとおりです。
・デマンド交通や予約制乗合タクシー
・コミュニティバスや路線バス
・一般のタクシーと自治体の助成制度
・家族の送迎や福祉サービス
・ネットスーパー、配食、移動販売などの宅配サービス
サービスの内容や料金、利用条件は地域によって異なります。
免許を返納する前に、市区町村の交通担当窓口、高齢者支援窓口、地域包括支援センターなどへ相談し、自宅周辺で利用できる制度を確認しましょう。
そのうえで、1週間ほど車を運転しない生活を試し、通院、買い物、急な用事に対応できるかを確認すると、返納後の生活を具体的に考えやすくなります。
安全だけでなく、本人の生活、家族の負担、毎月かかる費用も含めて、無理のない移動方法を準備することが大切です。
参考資料
・警察庁「運転免許証の自主返納について」
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/jishuhennou.html
・国土交通省「地域公共交通の活性化・再生への事例集」
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/htm/all.html

