ペダル踏み間違い時加速抑制装置は効果ある?仕組み・限界・後付けの注意点

車のトラブル・悩み

駐車場などでアクセルとブレーキを踏み間違え、車が急発進する事故を心配する人もいるでしょう。

こうした事故の被害を軽減するために使われるのが、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」です。

アクセルを急に強く踏み込んだとき、エンジンやモーターの出力を抑えたり、警告音や画面表示で運転者へ知らせたりします。

ただし、装置の名称、検知方法、作動する速度、前進と後退の対応範囲は、車種や製品によって異なります。自動的にブレーキをかける機能がある装置もありますが、すべての装置が車を停止させるわけではありません。

また、後付け装置では、取り付けられる車種や機能に制限があります。補助制度の有無も自治体によって異なるため、現在も全国一律の補助金があると考えないようにしましょう。

この記事では、ペダル踏み間違い時加速抑制装置の仕組み、作動しない場合、後付け前に確認したいこと、装置へ頼りすぎないための運転方法を分かりやすく解説します。


ペダル踏み間違い時加速抑制装置とは

ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、停車時や低速走行時にアクセルを急に強く踏み込んだ場合、急加速を抑えるための装置です。

主な作動方法には、次のような違いがあります。

・前方や後方の障害物をセンサーで検知して加速を抑える
・アクセルの急な踏み込みを検知して加速を抑える
・警告音や画面表示で運転者へ知らせる
・加速抑制に加えてブレーキを作動させる

どの機能が付いているかは、車種、年式、グレード、後付け製品によって異なります。

また、前進時だけでなく後退時にも対応する装置や、壁などの障害物がない場所でも急なアクセル操作を検知する装置があります。

購入するときは「踏み間違い防止機能付き」という説明だけで判断せず、前後どちらに対応するのか、どのような条件で作動するのかを確認しましょう。


急発進の抑制や被害軽減が期待できる

ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、踏み間違いによる急発進を抑え、衝突の回避や被害の軽減を目的とした安全装備です。

自動車事故対策機構のJNCAPでは、停車した車のアクセルを急速に踏み込み、前方または後方にある模擬車両や模擬歩行者への衝突を回避できるか、衝突時の速度をどこまで下げられるかを試験しています。

試験は次の4つの状況を想定しています。

・前進時の車両
・後退時の車両
・前進時の歩行者
・後退時の歩行者

試験で衝突を回避した場合や、衝突速度を下げた場合は評価されます。

このため、一定の条件では急発進の抑制や被害軽減が期待できます。

ただし、試験で高い評価を受けた車でも、実際の道路ですべての踏み間違い事故を防げるわけではありません。障害物の種類、距離、速度、天候などによって、装置が作動しない場合があります。


装置が作動しない場合がある

ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、センサーやカメラなどで周囲を確認し、決められた条件に当てはまった場合に作動します。

次のような状況では、正しく検知できなかったり、装置が作動しなかったりする可能性があります。

・作動対象となる速度を超えている
・障害物との距離や角度が作動条件に合わない
・雨、雪、霧、逆光などでセンサーが周囲を確認しにくい
・センサーやカメラに汚れ、雪、氷などが付いている
・細い物、低い物、ガラスなどを検知しにくい
・坂道や段差など、路面の状態が特殊である

検知できる対象や作動条件は車種によって異なります。詳しい条件は、その車の取扱説明書で確認してください。

車を完全に止める装置とは限らない

名称に「踏み間違い防止」と付いていても、すべての装置が自動的にブレーキをかけるわけではありません。

主な機能がエンジンやモーターの出力抑制と警告だけの場合、運転者自身がブレーキを踏んで車を停止させる必要があります。

また、装置が作動した後もアクセルを踏み続けた場合の動作は、車種や製品によって異なります。

装置が作動したときは、警告表示を確認し、アクセルから足を離してブレーキを踏みましょう。

「装置があるから止まる」と思い込まず、あくまで運転を補助する機能として使用することが大切です。


踏み間違いを減らすためにできること

装置を付けるだけでなく、ペダルを操作しやすい運転姿勢と習慣を確認することも大切です。

運転前に次の点を確認しましょう。

・ブレーキを十分に踏み込める座席位置に調整する
・背もたれを倒しすぎない
・かかとを床に置き、右足でアクセルとブレーキを踏み分ける
・厚底の靴や脱げやすい履物を避ける
・フロアマットがずれたり、重なったりしていないか確認する
・駐車や切り返しでは急いで操作しない

運転中にペダルを目で確認すると、前方から視線が外れて危険です。

ペダル位置に不安がある場合は、安全な場所へ停車してから足の位置を確認しましょう。

また、駐車場で焦ったときや操作が分からなくなったときは、無理に動かさず、ブレーキを踏んで一度停止することが大切です。

同じような踏み間違いや急操作を繰り返す場合は、家族に同乗してもらい、座席位置や運転操作を確認しましょう。


後付け装置を付ける前に確認したいこと

現在乗っている車に、ペダル踏み間違い時加速抑制装置を後付けできる場合があります。

ただし、製品によって機能や対応車種が異なり、すべての車へ取り付けられるわけではありません。

取り付け前に、次の点を確認しましょう。

・自分の車の型式と年式に対応しているか
・前進と後退のどちらに対応するか
・障害物がない状況でも作動するか
・加速を抑えるだけか、ブレーキも作動するか
・警告方法と作動後の操作
・取り付け費用と保証内容
・車検やメーカー保証へ影響しないか
・自治体の補助制度を利用できるか

安全に関係する装置なので、自己判断で取り付けず、車両メーカーの販売店や装置の取扱店へ相談しましょう。

補助制度は自治体ごとに異なり、受付期間や予算上限が設定されている場合があります。古い補助金情報をそのまま利用せず、申請時点の自治体情報を確認してください。

なお、国土交通省は、オートマチックの新型乗用車について、国際基準に適合する装置の搭載を2028年9月1日から義務付けるとしています。輸入車の新型車は2029年9月1日からです。

これは新型車への適用時期であり、現在使用しているすべての車へ直ちに後付けが義務付けられるという意味ではありません。

まとめ|効果と作動条件を確認して選ぶ

ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、アクセルを急に強く踏み込んだときの急発進を抑え、衝突の回避や被害軽減を支援する装置です。

ただし、すべての状況で作動するわけではなく、装置によって機能も異なります。

確認したいポイントは次のとおりです。

・前進と後退のどちらに対応するか
・障害物がない場所でも作動するか
・加速抑制だけか、ブレーキも作動するか
・どの速度や条件で作動するか
・センサーが検知しにくい対象は何か
・後付けの場合は自分の車へ対応するか

装置が付いていても、自動的に車が停止するとは限りません。警告が出た場合はアクセルから足を離し、自分でブレーキを踏む必要があります。

また、座席位置、履物、フロアマット、ペダルの踏み分け方など、普段の運転環境も確認しましょう。

安全装備は運転を助ける機能です。取扱説明書で作動条件と限界を理解し、装置へ任せきりにしないことが大切です。

参考資料

・自動車事故対策機構「ペダル踏み間違い時加速抑制装置の試験方法・評価方法」
https://www.nasva.go.jp/mamoru/active_safety_search/pedal_stepping_wrong.html

・国土交通省「ペダル踏み間違い時加速抑制装置の搭載を義務づけます」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000330.html



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