「高齢になると、何歳から運転が危なくなるのか」と気になる人もいるでしょう。
運転能力には個人差があるため、「○歳になったら全員危険」と一律に判断することはできません。
一方、警察庁の2025年統計では、免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳以上の運転者が75歳未満の運転者の約2倍となっています。
ただし、この数字はすべての交通事故を比べたものではなく、運転者が第1当事者となった死亡事故の統計です。年齢だけで運転の可否を決めるのではなく、体調、視力、判断の遅れ、運転中の変化なども含めて確認する必要があります。
この記事では、75歳以上の運転者に関する公式統計を確認しながら、死亡事故の特徴、運転を見直すサイン、安全に運転を続けるための対策を分かりやすく解説します。
75歳以上では免許保有者当たりの死亡事故件数が多い
「何歳になったら危険」と一律に線を引くことはできませんが、警察庁は75歳以上の運転者を区分して死亡事故の状況を公表しています。
2025年の統計では、免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は次のとおりです。
・75歳以上の運転者:4.8件
・75歳未満の運転者:2.5件
75歳以上の運転者は、75歳未満と比べて約2倍です。
ただし、この数字だけで「75歳以上の人は全員危険」と判断することはできません。運転頻度、走行する道路、健康状態、車の安全装備などは人によって異なります。
また、ここで比較しているのは死亡事故であり、軽い接触事故を含むすべての交通事故ではありません。
75歳は運転をやめる年齢ではなく、運転方法や体調の変化をこれまで以上に丁寧に確認する目安の一つとして考えましょう。
75歳以上の死亡事故では「操作不適」の割合が高い
警察庁の2025年統計では、75歳以上の自動車運転者による死亡事故の人的要因として、「操作不適」の割合が最も高くなっています。
操作不適とは、ハンドルやブレーキなどの操作を誤ることです。
死亡事故に占める操作不適の割合は、75歳以上が75歳未満の約3.1倍でした。また、75歳以上の死亡事故では、ブレーキとアクセルの踏み違いも31件確認されています。
ただし、加齢による変化は人によって異なります。年齢だけで判断せず、次のような変化がないかを確認することが大切です。
・駐車するときに車体をこすることが増えた
・車線をはみ出したり、左側へ寄りすぎたりする
・信号や標識を見落とすことが増えた
・右左折の判断に時間がかかる
・ブレーキを踏むタイミングが遅くなった
・家族から運転について注意されるようになった
・運転後に強い疲れを感じる
一度の失敗だけで運転能力が低下したとは断定できません。しかし、同じ変化が繰り返される場合は、運転する時間帯や道路を見直し、必要に応じて家族や医師、運転免許センターへ相談しましょう。
年齢だけで運転の可否は決められない
75歳以上の死亡事故率が高いという統計は、個人の運転能力をそのまま示すものではありません。
同じ年齢でも、視力、体力、持病、服用している薬、運転頻度、普段走る道路などは異なります。
一方、長年無事故だったことだけで、現在も安全に運転できると判断することもできません。加齢や病気による変化は、過去の運転経験とは別に確認する必要があります。
次のような条件が重なると、年齢にかかわらず事故リスクが高まります。
・睡眠不足や体調不良
・焦りや疲労
・雨、夜間、逆光など見えにくい状況
・慣れていない道路や複雑な交差点
・眠気やふらつきが出る薬の服用
・安全装備への過信
「何歳だから大丈夫」「何歳だから危険」と決めつけず、現在の体調と実際の運転行動を確認することが大切です。
安全に運転を続けるために見直したいこと
運転を続けるか、すぐに免許を返納するかの二択で考える必要はありません。
まずは事故につながりやすい条件を減らし、無理のない範囲へ運転を見直す方法があります。
運転する時間と道路を限定する
視界が悪くなりやすい夜間、雨天、交通量の多い時間帯を避けるだけでも、運転中の負担を減らせます。
・明るい時間帯だけ運転する
・雨や雪の日は運転しない
・高速道路や複雑な交差点を避ける
・買い物や通院など必要な範囲に限定する
・体調が悪い日は車を使わない
安全運転支援機能のある車を検討する
衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時の加速抑制、周囲を確認できるカメラなどは、運転を支援する機能です。
ただし、障害物、天候、速度などの条件によっては正しく作動しない場合があります。安全装備があるから事故を防げると過信せず、補助として使用しましょう。
車を買い替える場合は、カタログだけで判断せず、販売店で実際に運転して、視界、乗り降りのしやすさ、ペダルの位置、操作方法を確認することが大切です。
家族が同乗して運転を確認する
本人は運転の変化に気づきにくい場合があります。
家族が定期的に同乗し、急ブレーキ、標識の見落とし、車線のはみ出し、駐車時の接触などが増えていないかを確認しましょう。
注意するときは「年齢だから危ない」と決めつけず、実際に起きたことを具体的に伝えるほうが話し合いやすくなります。
不安がある場合は安全運転相談窓口へ相談する
警察の安全運転相談窓口では、加齢や病気による運転への不安について相談できます。
全国共通の専用電話は「#8080」です。本人だけでなく、家族からも相談できます。
医師から運転について注意を受けた場合や、意識を失う、強い眠気が出る、視界が急に悪くなるなどの症状がある場合は、自己判断で運転を続けず、医師や運転免許センターへ相談しましょう。
まとめ|75歳は運転を見直す目安の一つ
警察庁の2025年統計では、免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳以上の運転者が75歳未満の約2倍でした。
また、75歳以上の自動車運転者による死亡事故では、ハンドルやブレーキなどの「操作不適」の割合が、75歳未満の約3.1倍となっています。
ただし、年齢だけで個人の運転能力を判断することはできません。
確認したいポイントは次のとおりです。
・同じ運転ミスを繰り返していないか
・信号や標識の見落としが増えていないか
・駐車や右左折に時間がかかるようになっていないか
・家族から運転について注意されていないか
・夜間や雨天の運転に不安を感じないか
・病気や薬が運転へ影響していないか
不安がある場合は、運転する時間や道路を限定する、安全運転支援機能のある車を検討する、家族に同乗してもらうなど、段階的に見直す方法があります。
本人や家族だけで判断することが難しい場合は、安全運転相談窓口「#8080」や運転免許センター、医師へ相談しましょう。
免許返納を急いで迫るのではなく、現在の運転状況と生活に必要な移動手段を一緒に確認することが大切です。
参考資料
・警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R07bunseki.pdf
・警察庁「安全運転相談窓口について」
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/conferennce_out_line.html

